▶落石岬。岬の先端付近には木道やフットパスが整備されているので、先端まで散策することができます。
Things to Do
根室でしかできないDEEPなこと
日本最東端の鉄道、花咲線に乗って。
車窓からの景色を楽しむ列車旅。
#花咲線 #根室の魅力
旅の移動手段として、たまには列車も良いものです。醍醐味は何と言っても、車窓から望む景色。時間を気にせず心ゆくまで眺めれば、その旅の思い出もより濃いものとなるでしょう。今回、根室までの移動手段として使ったのは、釧路から根室までを結ぶ鉄道、花咲線。日本最東端の線路を走る路線の愛称です。景色を楽しみながら目的地までのんびりと。厚床駅から根室駅まで、50分間の旅の模様をお届けします。
※記事の内容は2023年時点の情報になります
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旅の始めは根室の玄関口、厚床駅で
北海道一長い鉄道路線、JR根室本線。花咲線とは、そのうちの釧路と根室を結ぶ鉄路のことを言います。運行本数は、上下線あわせて1日に12本。今回の旅では、隣町浜中町から根室に入ってすぐの駅、厚床駅から10時4分発の列車に乗り、根室駅まで向かうことにしました。
改札は設置されておらず、待合室を出てすぐにホームへ。切符の券売機などはなく、どうやら目的地の根室駅で精算するシステムのようです。
ホームで待つこと数分、音を立てず静かに近づいてくる列車の姿が見えました。いよいよ花咲線に乗車します。整理券を取り中へ進むと、大きなスーツケースを持った旅行客やアウトドアウェアに身を包んだ人たちの姿が。各々車窓を眺めたり、カメラを覗き込んだりと楽しげな雰囲気が伝わってきます。
いよいよ乗車。次から次へと移り変わる車窓からの景色
途中乗車でしたが、運良く進行方向右側の席に座ることができました。花咲線ではどちらの席に座るかが重要なポイント。下り線では右側、上り線では左側に座れば心置きなく車窓からの景色を楽しむことができます。
次の駅は別当賀(べっとが)駅。この2つの駅の間にはもうひとつ、初田牛(はったうし)駅という駅が雑木林の中にあったのだそう。現在は使われなくなったため、この区間はほかの区間よりも長めの乗車時間となっています。
走り出して早々目に入ってきたのは、牧草地の中に佇む1羽のタンチョウ。グリーンの中に黒と白の美しいコントラストが映えていました。その姿に見とれていたのも束の間、見通しの良い牧草地から深い森の中へ。窓から手を出したら木の葉に触れられるのではというほどすれすれの距離で森の中を進んでいきます。
突如響くピーッという甲高い汽笛はシカよけの合図。その直後、慌てて走り去るシカの姿が見えました。真っ白なお尻がピョンピョン跳ねて、何とも可愛い後ろ姿です。
さらに、花咲線ではこんなうれしいサービスも。別当賀駅を過ぎたあたりで「一部速度を落として走行します。車窓をお楽しみください」との車内放送が。しばらくすると、視界がパッと開け、海岸とその向こうに太平洋に細長く突き出した陸地が現れました。花咲線でも有数の絶景ポイント、落石岬です。周りの乗客たちの中からは「おお」っという歓声が。カメラのシャッター音もあちこちで聞こえ、車内は静かな熱気に包まれます。
車窓から根室の産業に触れる
サケ、マス、コンブなどを生産する漁場として古くから漁業が営まれてきた落石地区。岬を過ぎると、昆布盛駅までは漁村風景が広がります。そこで気になったのが、所々目に入る砂利の広場。何だろうと不思議に思っていると、次の瞬間、今度は何やら黒くて細長いものがきれいに敷かれている光景が。これは、夏の風物詩、昆布の天日干し。朝に採ってきた昆布を早速干しているのでしょう。7月から9月にかけてが漁期の昆布漁。晴れた日にはこうして、天日干しをする人たちの姿が見られます。
駅名の「昆布盛」の由来も、昆布の採れるこの地域と何か関係がありそうです。気になって後日調べてみたところ、どうやら「昆布盛」はアイヌ語で「コㇺプモイ(昆布の湾)」という意味の言葉が由来なのだそう。昔からここは昆布の生産地だったのかもしれません。
列車は町の中へ。あっという間にゴールを迎えた列車旅
西和田駅を発車し、乳牛や馬たちが放牧された牧場をいくつか通り過ぎると、家や建物がちらほらと目立つように。どうやら市街地に近づいてきたようです。
住宅地の中にある東根室駅は、日本最東端の駅。ホームには「日本最東端の駅」の看板が。1921年(大正10年)の花咲線全通開通後、住宅街が増えたことから住民からの要望により1961年(昭和36年)に開駅した東根室駅。今でも朝夕は通学姿の学生たちで賑わうのだそうです。
▶列車から降りずに撮影。下り線では後方の席からよく見ることができます。
東根室駅を発車すると、列車は大きく西へカーブ。終点、根室駅に到着しました。
日本最東端の鉄路を走る列車旅。北海道らしい広々とした牧草地、木々の深緑が美しい森、圧巻の大海原、昔から営まれてきた人々の暮らし。次から次へと目に入り込む景色を一瞬も逃すまいと車窓にかじりつき、あっという間に過ぎていった50分間でした。乗客たちも満足げな表情です。彼らは根室駅からまたさらなる目的地へ出かけていくのでしょう。皆わくわくとした様子で足取り軽くホームを後にします。
時刻はもうすぐ11時。少し早いですが、駅前の飲食店も営業を始める時間です。私もまずは腹ごしらえ。ランチを食べながら、午後からの根室観光の計画を立てることにします。
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